2022.10.17
樒(しきみ)という植物をご存知でしょうか。樒は昔から仏教との関係が深く、葬儀などの仏事には欠かせない植物です。今回は、なぜ樒が葬儀などで使われるのか、樒の特徴や仏教との関係について詳しくご紹介します。
【樒はどんな植物?】
美しい緑色をしていて常緑小高木に分類されるものです。10センチ程度の大きさに成長します。
春になると薄い黄色い花を咲かせます。仏事は一年中どこの期間でも起こるので花が咲いている樒より、花をつけていない状態の樒を使う事の方が多いでしょう。
別名「ハナノキ」や「ハナシバ」とも言われます。樒は非常に日持ちするのも特徴です。また、非常に独特な香りも有名です。この香りは、故人を獣や邪気から守るためのものとして昔から重んじられています。
【樒の名前の由来】
名前の由来には諸説あります。
●「悪しき実(あしきみ)」の「あ」を取って「しきみ」と呼ばれるようになったとされています。樒は花から実全体が毒を持っているため「悪しきもの」という解釈があり、このような名称で呼ばれていたと考えられています。
●独特の香りがあるため、「臭き実」から転じ、実が平たく敷物のようであったため、「敷き実」と呼ばれるようになったという説もあります。
【樒が仏事に使われている理由】
●仏教を広めた鑑真が樒を持ち込んだから
鑑真は、688年に唐で生まれました。14歳で出家して、洛陽、長安で修行を積み、仏教を広めたいと強く思い、船で日本に渡りました。
しかし、その頃の航海術は現在より劣り、渡航に何度も失敗してしまいます。それでもあきらめず、渡航に成功し、日本で仏教を広めた立派な僧侶です。そんな鑑真が樒を日本へ持ち込んだこともあり、仏教を象徴する植物となりました。
●強い香りを放ち、また毒性もあるから
樒は傷つけるととても強い香りを放ちます。そことから虫を寄せ付けず、遺体の臭いを消してくれるので通夜や葬儀に飾るのがふさわしいと考えられています。
また樒は強い毒性を持ち、獣よけとしても有用であり、邪(よこしま)な物を寄せ付けないという考えから清めの意味でも使われています。
●空海が修行で樒を使用していたため
唐で行われていた密教の修行では、青蓮華を使用していたと言われています。この青蓮華は、仏様がいるあの世に咲いているとされています。
真言宗の開祖である空海はその青蓮華が入手できず、代わりに葉っぱが似ている樒を使って修行していたそうです。
樒に「密」という字が使われているのは、この空海が「密」教の修行に樒を使用していたからという説もあるようです。
●丈夫で長持ちするため
樒は定期的に水を替えればかなり長持ちします。花を枯らさないよう気をつけなければならない仏事においてとても助かります。
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